チューリップ・ワイナリーは2003年に、ロイ・イツハキによってクファー・ティクヴァ(希望の村)と名付けられた村に設立されました。クファー・ティクヴァは発達障害を抱える成人のための村で、イツハキは当初から高品質ワイン造りとクファー・ティクヴァの村人達の役に立つ社会貢献との両立を目指しながら事業を始めたんですね。
そしてコーシャワインの認定も得ないまま2003年から出荷を始めるのですが、その最初の出荷からワインは市場で高い評価を得ることになります。
この成功を受けてイツハキはさらに事業を拡大すべくコーシャワインの認定を受ける準備を進めるのですが、この過程で次々と試練に直面する事になります。
何しろコーシャワインの認定を受けるには、正統派ラビ(ユダヤ教の宗教指導者)の監督の下に、敬虔なユダヤ人男性のみによって造られなければいけないのですから。
※ コーシャワインについては『コーシャワインの話』を参照。
ワイン造りと社会貢献の両立をあきらめないイツハキは、コンサルタント達の協力も得ながら様々な試みを進め、
4年の歳月を掛けて、2010年になりますが、村人達の最大限の関わりを維持しながらもコーシャワインの認定獲得を成し遂げるのです。
この結果を受けてワインの生産は飛躍的に増大し、はやくも2013年には20万本近くの生産量に達し、イスラエル最大のブティック・ワイナリーへと成長して行きます。現在では葡萄生産地として高く評価されているクファー・ユーヴァルやケレム・ベン・ジムラなどを含むイスラエル全土から最高の品質の葡萄を得て、また最新の技術を導入する事により市場で高く評価される高品質ワインを作り続けていまして、イスラエルワイン業界の希望の星とも評価されるに至っているのです。
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個性的で爽やかな味わいが魅力の辛口白ワイン【チューリップ|イスラエル】
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ゲヴュルツトラミネールとソーヴィニヨン・ブランのブレンドです。マスカットやライチ、柑橘類の果実味に爽やかな酸味が溶け合います。
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ほのかな果実の甘みが優しさを匂わせながらスパイシーなアクセントと絡み合い、これにふくよかな飲み口と心地よい綺麗な酸味が重なります。
【イスラエルのブティック・ワイナリー】
チューリップ・ワイナリーは、2016年から関わりを持ち続けているイスラエルのブティック・ワイナリーです。
イスラエル大使館主催のワインイベントが毎年開かれることから、イスラエルのワイナリーは結構来日する機会が多いのですが、チューリップ・ワイナリーのCEOであるロイ・イツハキさんも3,4年に渡って毎年来日しては熱心に日本での活動を続けていまして、そのたびにお会いしてあれこれお話をさせていただいています。
CEOのRoy Itzhakiさん(左)とイスラエルワイン
アンバサダのTal GAL-COHENさん
イスラエルは四国ほどの大きさなのですが、60ほどの商業規模のワイナリーに加えて200を超えるブティック・ワイナリーが興隆しています。
このブティック・ワイナリーの活発な活動もイスラエルワイン業界の大きな特徴の一つになっているのです。
そして彼らの作るワインの品質の高さは、市場では高く評価されていまして、チューリップ・ワイナリーで言うならば、ハイエンド商品であるBlack Tulip 2012 が、2016年にはワイン・アドヴォケイト誌が選ぶ『2016年を代表する3本のワイン』に選出されています。
もちろんイスラエルワインの中での3本という話ですが、ドメーヌ・デュ・カステルと並んで選ばれていまして、これはなかなかのものですし、その後も引き続き高いWAポイントを獲得し続けているのです。
先日イツハキさんにお会いしたときに改めて試飲しましたが、とても深く柔らかな味わいの赤ワインです。
またBlack Tulipと一緒に試飲したSyrah Reserveもとても魅力的な味わいでした。
以前はBlack Tulip以外のエチケットが何とも不細工だったのですが、これも新しいビジョンの基に一新し、すっかりスマートな装いになっていますし、今後の活躍がますます期待されるところです。
注目が高まる地中海地方のブドウ品種
そしてもう一つ注目していますのがチューリップ・ワイナリーの姉妹ワイナリーであり、地中海地方のブドウ品種に特化してワイン造りを始めたマイア・ワイナリー(MAIA winery)。CEOは同じイツハキさんです。
マイア・ワイナリーのワイン
そもそもイスラエルは地中海の東端に位置し、地中海性気候に加えてテラロッサ土壌が広く分布する環境がありまして、昨今のイスラエルのワイン造りの動向には、地中海地方のブドウ品種(主に、環境が似ている南フランスの品種)に注目する傾向が見られます。
ここで注目されている品種としては、
赤ではカリニャン、グルナッシュ、プティ・シラー、
ムールヴェードル、そしてシラー(シラーズ)、
白ではヴィオニエ、ルーサンヌ、マルサンヌなどが挙げられます。
従来のボルドースタイルのワイン造りからちょっと離れて、これらの地中海地方のブドウ品種への関心は今後とも広がるでしょうし、イスラエルワインの主要な傾向の一つとして注視していく必要があるように思います。
さて今回の試飲会とは別に、イスラエルへ発注していたマイア・ワイナリーのワインが届きます。
イツハキさんにお会いする前に試飲してみたのですが、全般に赤白ともに軽やかな味わいのワインです。
特に白が地中海の雰囲気を匂わせて特徴的でしたが、これはマルサンヌとフレンチ・コロンバールのブレンド。照りつける日差しの中で飲むにピッタリの、明るく爽やかな味わいが印象的でした。
Maia MARE WHITE 2017
この事をイツハキさんに話しますと、『地中海料理には軽やかなワインが合う...』との事で、意図的に軽めのワイン造りを目指しているそうです。
当店も最初はヴィトキン・ワイナリーからスタートしましたし、現在扱っているプサゴットやペルターなどもブティック・ワイナリーの範疇に入りまして、今後ともブティック・ワイナリーに注目して応援していきたいところです。
ただどこも数万〜数十万本程度/年間と生産本数は少ないですから、どうしても価格が高くなってしまうのが悩みの種ですね。