一貫した自然志向のワイン造りを続けるティシュビ・ワイナリー
ティシュビ・ワイナリーは一貫してファミリーによるワイナリー経営が行われていまして、葡萄作りに農薬や、殺菌剤、除草剤等々を使用せず、また肥料を使う事も無く、土壌の持つ力を信じてブドウを育てるやり方が引き継がれています。
造られるワインは、昨今の言葉で言うなら 「自然派ワイン」と言えるでしょう。
(自然派ワインの定義は明確ではありませんが)
イスラエルワインの特徴であるコーシャワインに留まらず、 ヴィーガンワインや一部ではオーガニックワインも造っていますし、またワイン造りに留まらない食文化へのこだわりを訴求し続けているワイナリーなのです。
そうなんです。下に並んでいるワインは全てヴィーガンワイン!
ボトルの裏ラベルにはコーシャ・マークに並び、左のヴィーガン認証マークがついています。これは世界で最も古くから存在しているヴィーガン組織 Vegan Society(ヴィーガン協会)の認証マークです。
【続きを読む:イスラエルのワイン業界において最も古い
プレイヤーの一つ】
※ カルメル山麓、ガリラヤ、ジュデアンヒルズ、ネゲブ砂漠:
イスラエルのワイン造りが盛んな地域については
『イスラエル全土で育まれるワイン造り』を参照。
※ ティシュビの他のワインの話はこちらを参照:
『過去に出会ったティシュビのワイン達』
軽やかな飲み口と深みある味わいが交錯する飲みやすい赤ワイン【ティシュビ・シリーズのカベルネ】
3,190円(税込)
自然派ワイン造息づく心地よい酸味が優しい風味を匂わせながら、余韻に広がるしっとりとした飲み心地が存在感を見せるカベルネです。
爽やかな酸味広がる辛口〜やや甘口白ワイン【ティシュビのフレンチ・リースリング|イスラエル】
2,651円(税込)
爽やかですっきりとした酸味広がるやや甘口の白ワインです。ライチや洋なしのほのかな甘味が溶け合う心地よい飲み心地が広がります。
ノンフィルターの深みある味わいで、和食にも合う辛口赤ワイン|ティシュビのカベルネ【イスラエル】
4,805円(税込)
ティシュビのワイン造り息づくノンフィルターの綺麗な酸味ベースの味わいに果実味や渋みが溶け合い、落ち着いた飲み心地を奏でます。
【今週のおすすめ】
自然派ワイン造り息づく爽やかな飲み心地の辛口白ワイン|シャルドネ【ティシュビ|イスラエル】
3,478円(税込)
綺麗な酸味と優しい果実味溶け合う爽やかな飲み心地に厚みや深みも顔を出し、ほのかな苦みが豊かな表情を添えて日々の食卓を彩ります。
【過去に出会ったティシュビのワイン達】
【2018.3.5】
ネゲヴ砂漠で育まれたノンフィルターの辛口赤ワイン
〜 ティシュビ・エステート|メルロー 2008 〜
( Tishbi Estate Merlot 2008 )
ぶどう品種 | :メルロー 85% カベルネ・ソーヴィニヨン 10% プティ・ヴェルド 5% |
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アルコール度数 | :13.5% |
生産年 | :2008年 |
味わい | :辛口 フルボディ |
熟成 | :12ヶ月樽熟、ノンフィルター |
その他 | :ヴィーガンワイン コーシャワイン |
生産地 | :イスラエル|ネゲヴ砂漠(スデー・ボケル) |
ネゲヴ砂漠にあるスデー・ボケルの葡萄園で育てられたメルロー品種に、ガリラヤ地方のレバノン国境近くにあるクファー・ユーヴァルで収穫されたカベルネ・ソーヴィニヨンとプティ・ヴェルドがブレンドされています。
それぞれ最初の圧搾で得られるジュースのみを使用して造られ、ブレンドの後にオーク樽で12ヶ月間熟成され、ノンフィルターで瓶詰めされています。
2008年はイスラエルのベスト・シーズン
元々イスラエルは季節が安定していて年による差は少ないのですが、そして昨今はワイン造りの世界でもテクノロジーの進化が著しく少々のぶどうの出来はカバーしてしまいますから、ヴィンテージによる出来具合の影響はどんどん小さくなってきてはいるようです。
とにかくそれでも年ごとに評価の違いはありまして、イスラエルでは2008年はベスト・シーズンの一つと言われています。
落ち着いた味わいが魅力の10年目を迎えたメルロー2008
色は少しレンガ色も混じる黒っぽいガーネット色をしていて、控え目な果実香にロースト香、干し草の香りが漂い、あとからほのかにレーズンの香りが広がります。 澄んだ酸味に綺麗な果実味がバランスよく交じり合い、マイルドなタンニンの刺激と共にしっかりとした厚み、深みを匂わせながら、以前より透明感の増した繊細で品良く優しい味わいが漂います。
飲む温度は幾分高めがおすすめ
透明感を保ちながら徐々に濃密な味わいも顔を出し始め、口当たりも滑らかな、艶のある味わいが甦ります。
10年目になりますが衰えた様子は微塵もなく、まるで図ったかのように調和の取れた、熟成感を匂わせる、深みのある心地良い味わいが広がるのです。
早飲みされてしまうことの多いイスラエルワインですが...
リリース当初から存分に楽しむことができますので、10年程度といえども年数の経たワインに出会う機会は少なく、年数を経ても益々輝きを見せるところに造りの良さを感じさせています。 日頃より、多くのイスラエルワインは8年や9年は平気でその味わいを楽しむことができると述べてきましたが、このワインはその一つの証でもありますね。
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【イスラエルのワイン業界において最も古いプレイヤーの一つ】
ティシュビ・ワイナリーには130年以上も続くティシュビ・ファミリーの物語がありますが、それは1882年にミハエル・カミレツキーとマルカ・カミレツキー夫妻がリトアニアより移住し、カーメル山麓の南側スロープにあるジフロン・ヤーコブに拠を構えた事から始まります。
彼らは可能な限りのありとあらゆる植物や木々を植えながら、石だらけの土壌に何が向いているのかを繰り返し、これらの試行錯誤の中からブドウが良く育つことを見つけ出すのです。
そしてカーメル・ワイナリーの創設者で有り、イスラエルの近代ワイン作りに重要な役割を果たしたエドモンド・ド・ロスチャイルド男爵は、このようなカミレツキー達の活動とその結果の中から、イスラエルにワイン産業を興す事を決意するのです。
ティシュビのワイナリー
カミレツキーは男爵からの依頼を受けてブドウ作りを始めますが、その後一世紀以上にも渡ってファミリーは男爵がその基礎を作り上げたカーメル・ワイナリーの為にブドウ作りを続ける事になります。
そんな経緯から男爵(バロン)にちなんでバロン・ワイナリーと呼ばれていた時期もあり、イスラエルのワイン業界において最も古いプレイヤーの一つなんですね。
1984年にカミレツキーの孫にあたるジョナサン・ティシュビによってティシュビ・ワイナリーが創設されますが、これはその後に続くイスラエルにおけるブティックワイナリー興隆の先駆けとなるものでした。 まさにイスラエルにおける近代ワイン造りのパイオニアとしての役割を果たして来たと言えるでしょう。
このように初期のブドウ造りの中心的な役割を担い、また最も古いワイナリーの一つとして歴史的な役割を果たして来たティシュビ・ワイナリーは、その後のイスラエルのワイン産業を担う多くの若者が経験を積む場として一時期を過ごしており、著名なワイナリー創業者やワインメーカーを数多く排出しているのです。
そして地中海を臨むカルメル山麓のジフロン・ヤーコヴから始まった葡萄作りも、ゴラン高原を含むガリラヤ地方、エルサレム近郊のジュデアンヒルズ、そして南のネゲヴ砂漠とイスラエル全土に広がっているのです。
黒帯を付けたティシュビのシングルヴィンヤード・シリーズ
食にこだわりを持つティシュビのオリーブオイルとワインゼリー
上質で評判の高いワインを作り続ける一方で、地域の観光スポットともなっているワイナリーのビジター・センターにはワインとチョコレートの試飲室があったり(ティシュビのワインと共にヴァローナの各種チョコレートを楽しむことができます)、ワインに留まらずブランディも作っていますし、隣接するレストランでは様々な料理を提供したりとその活動は広く食の世界に関わっていて、オリーブオイルやワインゼリーを作っているのもこんな流れの一環なんですね。
ティシュビのオリーブオイルとワインゼリー
元々イスラエルはオリーブオイルでも有名で、ティシュビのオリーブオイルも素晴らしく美味しいと評判のエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルです。一方のワインゼリーにはカベルネ・ソーヴィニョンにイチジクを加えたゼリーやシャルドネにマンゴーを加えたゼリーなどがあり、甘さは控えめの上品な味わいで、ワインの香りがほのかに漂います。
チーズと一緒にフランスパンにつけて食べると実に美味しくて、いろいろ取り寄せてみたくなる、洒落た味わいが広がります。
シャルドネにマンゴーを加えたワインゼリー