美味しいブレンド赤ワインを楽しむ

■ イスラエルのブレンド赤ワインの動向
イスラエルでのワイン造り近代化は、1880年代にシャトー・ラフィットのオーナーであったエドモンド・ロスチャイルド男爵の投資に始まることは幾度となく触れてきましたが、このような歴史的な背景もあり、イスラエルで造られてきたブレンド赤ワインはボルドー・スタイルが主流でした。
カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、マルベックの5種類からなるブレンド赤ワイン造りですね。

一方でイスラエルが地中海の東端に位置し、地中海性気候に加えてテラロッサ土壌が広く分布していることなどを踏まえ、また気候が南フランスに似ていることなどから、昨今のブレンドワイン造りには地中海(主に南フランス)のブドウ品種へ回帰する傾向も見られるのです。
この地中海品種を中心としたブレンド赤ワインでは、カリニャン、グルナッシュ、マルセラン、ムールヴェードル、プティ・シラー、そしてシラー(シラーズ)の6種類が使われています。
南フランスやオーストラリアで造られてきた、グルナッシュ、シラー(シラーズ)、ムールヴェードルのブレンドはGSMとも称されて良く知られていますし、同じくオーストラリアで良く見られるグルナッシュとシラーズのブレンドも盛んに造られています。

イスラエルには原産地呼称制度のようなルールがありませんから、ワインメーカー達は自由にワイン造りに挑戦することができまして、このような大きな流れの中で、より高品質なブレンドワイン造りに取り組んでいるのです。
またイスラエルのワインメーカー達の特徴の一つとして、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなど、世界各地でワイン造りの勉強をしていることが上げられ、世界中のワイン造りの技術が融合しているとも言えるのです。
ボルドー・スタイルであれ、地中海品種を中心としたブレンドであれ、いずれの場合もブレンドする事により、よりバランスの良い、より複雑味豊かな味わいを追求しているわけですから、飲む方としては美味しいブレンド赤ワインを楽しむことが出来ればこれに越したことはありません。
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■ ボルドー・スタイルのブレンド赤ワインを選ぶ
エラ・ヴァレー・ザ・エラ|ドライ・レッド・ワイン
( Ella Valley The Ella Dry Red Wine )
タイプ | :赤ワイン |
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ぶどう品種 | :カベルネ・ソーヴィニヨン 55% カベルネ・フラン 25% プティ・ヴェルド 20% |
アルコール度数 | :14% |
生産年 | :2020年 |
容量 | :750ml |
味わい | :辛口−フルボディ |
その他 | :コーシャワイン |
生産地 | :イスラエル|エラ・ヴァレー |
ザ・エラ・シリーズには、ワイナリー所有の葡萄園で栽培された葡萄とジュディアンヒルズに位置するエラ渓谷のユニークなテロワールとを組み合わせた魅力溢れる赤と白のブレンドワインがあり、どんな場面やイベントにもぴったりの質の高い味わいを提供しています。
この赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドのブレンドです。各葡萄の区画は別々に管理され、夜間に手摘みで収穫された後、フレンチオーク樽で別々に熟成されます。熟成プロセスの最後の段階でブレンドされ、さらなる熟成期間を経て瓶詰めされています。
素晴らしい芳醇な香りが魅力的な赤ワインで、辛口のワインがお好きな方にピッタリでしょう。抜栓後、暫く時間を空けることをお勧めします。
すっきりとした飲み口が心地良い辛口赤ワイン
豊かな果実香が漂い、これに幾分スモーキーな品の良い香りやカカオのアロマが重なります。酸味、タンニンは控え目のマイルドな飲み口で、厚みのある柔らかくバランスの良い味わいが広がります。
少し時間が経つと徐々にスパイシーな刺激や澄んだ酸味も顔を出すようになって、優しいだけではない、メリハリの効いたインパクトのある味わいが広がり始めます。
抜栓後、少し時間を置くのがお勧めでしょう。
全体にバランスの良い、上品な味わいが広がり、ミディアムボディよりのフルボディの骨格に、柔らかくて優しい品の良い味わいが溶け合い、調和の取れた深み漂う飲みやすい味わいが溢れるのです。
詳しくは『こちら』
フラム・クラシコ
( Flam Classico )
タイプ | :赤ワイン |
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ぶどう品種 | :カベルネ・ソーヴィニヨン 24% メルロー 42% シラー 15% カベルネ・フラン 12% プティ・ヴェルド 3.5% マルベック 3.5% |
アルコール度数 | :14.5% |
生産年 | :2020年 |
容量 | :750ml |
味わい | :辛口 ミディアムボディ |
熟成 | :10ヶ月樽塾 |
その他 | :コーシャワイン |
生産地 | :イスラエル|ジュディアンヒルズ |
フラム・クラシコはフラム・ワイナリーのエントリーレベルのワインの1つで、カベルネとメルローを中心に、年ごとに少しずつ異なる他の品種も加わった5〜6種類の葡萄から造られるボルドースタイルのブレンドワインです。
全てジュディアンヒルズにあるマタ・ヴィンヤードで収穫された葡萄が使われていて、このマタ・ヴィンヤードは標高650mの地に有り、昼夜の寒暖差がとても大きいことで知られ、葡萄を完熟させるのにはとても良い環境になっています。
ブドウは個別に丁寧に除梗・破砕され、果汁はステンレスタンクでの発酵処理に回されます。発酵処理は低温マセレーションから始まり、十分なマロラクティック発酵を経てブレンド処理が行なわれ、その後フレンチ及びアメリカン・オーク樽による10ヶ月間の熟成を経て瓶詰めされ、さらに6ヶ月の熟成期間を経て出荷されています。
綺麗な酸味にタンニンや果実味溶け合う豊かな飲み心地
色合いは透明感のある黒っぽさも漂う濃い赤紫色に、若さも匂わせる紫色が混じります。
抜栓と同時に微かに甘みも漂うブラックベリーやプラムの熟した柔らかく豊かな果実香が湧き上がり、控え目な酸味、柔らかなタンニン、そして豊かな果実味が溶け合う柔らかくふくよかな味わいが後に続きます。
湿った土の香りに微かにスモーキーな樽香が重なって豊かで深い香りを漂わせ、透明感のある綺麗な酸味にタンニンや果実味が溶け合う豊かな飲み心地が広がります。
幾分メリハリの効いた胡椒のスパイシーな刺激も後から追いかけてきて、透明感のある綺麗な酸味と共に調和の取れた心地よい余韻を形作っています...
詳しくは『こちら』
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■ 地中海品種のブレンド赤ワインを選ぶ
ペルター・T-セレクション|シラーズ・グルナッシュ
( Pelter T-Selection Shiraz Grenache )
タイプ | :赤ワイン |
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ぶどう品種 | :シラーズ 60% グルナッシュ 40% |
アルコール度数 | :14.9% |
生産年 | :2016年 |
容量 | :750ml |
味わい | :辛口 フルボディ |
熟成 | :14ヶ月樽熟。 |
生産地 | :イスラエル|ゴラン高原 |
ゴラン高原にあるキブツ、メロム・ゴランにあるぶどう園で手摘みで収穫されたシラーズ 60%、グルナッシュ 40%のブレンドです。フレンチオーク樽にて14ヶ月間熟成された後に出荷されています。重厚感を漂わせる芳醇で厚みのある味わいながら滑らかで品の良い味わいに仕上がっています。
絶妙のバランス香る穏やかで洗練された味わい
上述しましたように地中海品種への関心が高まる中で、改めてグルナッシュが注目されるようになっています。
グルナッシュは気軽にお楽しみ頂くのに向いている品種ですし、元々他の品種とのブレンドで使われて輝きを見せてきた品種でもあり、シラーズとのブレンドになりましたのがこのシラーズ・グルナッシュ。
色は幾分赤みがかった濃いガーネット色をしていて、落着いたスモーキーな香りや草木、土の香りが漂い、ラズベリーにザクロ、木イチゴなどの赤い果実風味が広がります。
フルボディながら果実味と酸味が実にバランス良く溶け合い、澄んだ透明感のある柔らかな口当たりが心地良さを誘う辛口赤ワインです。
黒胡椒のスパイシーな味わいがアクセントを添えて魅力溢れる風味を醸し出し、しっかりとしたボディが存在感を放ちながら、アルコール度が少し高めの所為でしょうか、和らいだタンニンや酸味が飲みやすさを主張しています。
抜栓直後から楽しめますが、少し時間が経つといろいろな味わいが顔を出すようになり、一層豊かでまろやかな味わいが広がります。絶妙のバランスの良さを見せながら、柔らかく品の良いスパイシーな余韻が優しく全体を包み込むのです。
詳しくは『こちら』
絶妙のバランス香るふくよかな飲み心地の赤ワイン【ペルターのシラーズ・グルナッシュ|イスラエル】
5,386円(税込)
果実味と酸味がバランス良く溶け合う豊かな風味に品の良いスパイシーなニュアンスが絡み合い、洗練された味わいで飲む人を魅了します。
【今週のおすすめ】
ミディアムボディの軽やかでスムースな口当たりの辛口赤ワイン|フラム・クラシコ
5,293円(税込)
フラム・ワイナリーがジュディアンヒルズで育む、綺麗な酸味にタンニンや果実味溶け合う豊かな味わいが心地良いブレンド赤ワインです。
【今週のおすすめ】
心地よい飲み口に豊かな香りがまとわりつく個性と魅力溢れるエラ・ヴァレーの赤ワイン【イスラエル】
3,792円(税込)
湧き上がる豊かな果実香に土の香りも絡み合い、個性的な趣漂う繊細で柔らかく深みのある味わいが何とも魅力的な飲み心地を奏でます。
■ ブドウの生産量
イスラエルの各ぶどうの生産量は、2013年度の収穫量の順位で見てみますと以下の通りです。
1位:カベルネ・ソーヴィニョン(21%)
2位:カリニャン(15%)
3位:メルロ(14%)
4位:シラー/シラーズ(8%)
(出典: www.wines-Israel.com )
■ シラーとシラーズの違い
シラーとシラーズは同じぶどう品種なのですが、その味わいはかなり違うと言われています。フランス原産であるシラーは、滑らかな口当たりですがタンニンがしっかりしていて力強く、複雑かつ濃厚でありながらエレガントな味わいにもなると言われています。一方、シラーズと言えば今やオーストラリアを代表する赤ワイン用ブドウ品種で、色は濃く、タンニンは控えめ、甘みを伴う果実味豊かな凝縮感に富んだ味わいが特徴です。これに加えてフレンチ・オークとアメリカン・オークの樽の材質による違いもよく言われるところです。
さてイスラエルでは、ブドウの木(クローン)がどこから持ち込まれたか、あるいはワインの作りがフランス・スタイルか、ニューワールド・スタイルか等々で、シラーとシラーズの名前を使い分けているようです。名前に作り手の思い入れが込められているとも言えますね。